心不全とは

心臓は全身の臓器にくまなく血液を供給する臓器であり高性能で精密なポンプのような臓器です。
1分間に60回前後1日に10万回前後生まれてから死ぬまでがんばる働き者です。
いたわってあげましょう。

心不全 というのは病名ではなく、さまざまな心臓の病気の結果、このポン プの働きに障害が生じていろいろな症状を引き起こしている状態 を指すものです。急性心不全と慢性心不全 心臓を養っている血管が詰まって血液が流れなくなり心筋が死んでしまう心筋梗塞や、突然発症した不整脈などによって急激にポンプの働きが弱まり短期間に悪化する場合が急性心不全です。一方、 心筋症、高血圧や弁膜症などが原因で長年にわたって心不全症状を 認める場合を慢性心不全といいます。慢性心不全は高血圧、脂質異常症(高コレステロール血症など)、糖尿病などの生活習慣病との関連性が高く、高齢になるほど発症する人が増加します。日本では、65歳以上の高齢者の占める比率が 増加の一途をたどっていますので、これからますます慢性心不全をもつ人が増えることが予想されます。

心不全の症状

以下に示す症状は代表的な症状でほかにも症状はいろいろあります。
心配な症状があれば受診をお勧めします。

動悸・息切れがする

心筋が弱り、ポンプ機能が低下すると、1回の拍動で送り出せる血液が少なくなってしまいます。 そこで拍動の回数を多くして一生懸命血液を送り出そうとします。それで 脈拍が速くなり、ドキドキという動悸を感じるのです。また、血液をうまく循環できなくなって肺に水がたまり酸欠状態になりますので、それを補おうと、脈拍と共に呼吸の方も回数が増え、息切れがします。

せきやたんが出る

肺に水がたまると、せきやたんが出るようになることがあります。風邪などの症状と区別がつきにくいことも少なくなく、注意が必要です。

むくみが出る

身体全体に水がたまると特に足の甲やすねにむくみが出てきます。悪化するにつれ、むくみは上の方まで上がってきます。また、水がたまるため、体重が急に増えることが多いです。

心不全の診断や検査

心不全は全身病 心不全の症状は、骨格筋、肺や気管支、腎臓など他臓器の機能の低下によってさらに悪化しますので、いわば心臓の病気を基礎として生じる全身病であるといえます。そこで、検査のいろいろ

BNP測定

BNPというホルモンは心臓にかかる負担が重くなるほど多く分泌されるので、血中濃度が高いほど心不全の可能性が高くなります。

心電図検査

心筋梗塞などを起こしていないか、不整脈がないかなどを評価することができます。

X線検査

心臓に負担がかかり続けると、X線写真上で心臓が大きくなります。さらに、肺や気管支、肺血管などの状態も調べられます。

心エコー検査

心エコー検査では心臓の働きが弱っているのか、弁膜症がないかなどを調べることができます。
その他にも心臓CT検査心臓MRI検査、運動負荷検査、心臓カテーテル検査など患者様の病状や病態にあわせていろいろ検査があります。

心不全とは

心不全は心臓の働きが何かの原因で低下し、それが起こしている状態ですから、治療の原則は、心臓の働きを低下させた原因をはっきりさせ、その原因となる病気を治療することです。高血圧、糖尿病、高脂血症は、心不全患者様に多く合併する病気であり、心臓そのものや、心臓を取り巻く環境に悪影響を及ぼすため、これらの治療はもちろん重要です。狭心症や心筋梗塞が原因であれば、冠(状)動脈にステント(血管を広げたままにしておく固定具)を挿入したり、場合によって冠動脈バイパス手術をしたりすることが必要です。心臓弁膜症では弁を修復したり、取り換えたりする手術が必要です。心臓をつくる筋肉自体の病気である拡張型心筋症も心不全の原因となりますが、この心筋症は原因が不明で、根本的な治療法はいまのところありません。わが国で心臓移植の対象となる患者様のうち最も多いのは拡張型心筋症ですが、すべての拡張型心筋症の患者様が心臓移植の適応になるわけではありません。その心筋症の程度も軽いものから重症までさまざまです。これらのほかにも、心不全の原因となる病気はたくさんあります。
具体的には

安静

心不全の症状が悪化している際には、まずは運動を制限し、血液 の必要量を減らして、心臓の負担を軽減します。

運動療法・温熱療法

心不全の症状が安定したら、リハビリテーションとしての運動を します。また、低温サウナ浴、あるいは温水浴も行われます。これ は身体が不自由で運動ができない患者様でも行うことができます。 ただし、各患者様で内容が異なるので、必ず医師の指示の下で 行ってください。

食事療法

塩分や水分を制限し身体に水がたまるのを防ぎます。肥満により心臓に負担がかかっている場合には、カロリー制限が必要です。

薬物療法

血管拡張薬、利尿薬、強心薬など、いろいろな薬がありますが、 処方された薬を医師、薬剤師の指示どおりに正しく服用することが 大切です。調子が良いからといって、あるいは副作用を恐れて、自分の判断で服用をやめてしまってはいけません。患者様が医師に相談せずに服薬内容を勝手に変更することは、患者様の状態が悪化する原因として最も多いもののひとつです

カテーテルでの治療

心臓外科での治療

日常生活での注意点

慢性心不全にならない、あるいは悪化させないためには、心臓病 の引き金となる生活習慣病を予防することが大切です。日頃の生活に気をつけて、高血圧や高血糖、高脂血症などにならないようにしましょう。もしもなってしまった場合でも、しっかりと生活を管理することにより、症状が改善することは十分に期待できます。

塩分をとりすぎない

塩分をとりすぎると、それを薄めようとして水分をたくさんとる結果となります。すると血液量が増え、心臓の負担が増加します。

禁煙

喫煙はあらゆる点から見て心臓に悪影響を及ぼし、心不全を悪化させます。受動喫煙も同様です。

お酒をひかえる

お酒と心臓との関係は複雑です。適度な飲酒は狭心症や心筋梗塞の発症を抑えますが、飲み過ぎるとかえって心臓病を起こす、あるいは悪化させます。アルコール性心筋症という病気もあり、この場 合は断酒しなければなりません。医師の指示に従うことが大切です。

休養・睡眠を十分に

不規則な生活や睡眠不足は心臓に大きな負担をかけます。休養や睡眠を十分にとるだけでも心不全の症状が軽くなることがあります。

風邪に気をつける

風邪は心不全の症状を悪化させる主要な原因のひとつです。予防や早めの受診を心がけましょう。

定期的な診察を

心不全の症状かもしれないと気になる人は専門医をいちど受診してください。心不全になったことがある人は、現在は症状が出なくても、定期的な医師の診察を受けるよう
にしましょう。
心臓川柳

こんな時は医師に相談を

動悸・息切れ・息苦しさが強くなった

今まで平気で昇れた坂道や階段が、動悸や息切れがして途中で休まないと昇れなくなったり、横になると息苦しくて座っていないと息がつきにくい、などがあれば、心不全が悪化している可能性があります。

下肢にむくみが出た

足の甲やすねを強く押さえた時、指のあとが残る場合は要注意。

せきやたんが止まらない

せきやたんが長くつづく、息苦しくてたんに血が混じるなどの症状は、心不全が原因かもしれません。

急に体重が増えたり減ったりした

短期間での急激な体重の増加は水分の貯留を示すサインで、心不全が悪化しているのかもしれません。逆に急激に減った時にも心臓 の状態が悪化している可能性を考えなくてはなりません。

静かにしている時に動悸を感じた

静かにしている時に動悸を感じたら、不整脈を起こしている可能性があります。不整脈の中には命にかかわる危険な不整脈もありますので、注意が必要です。