心臓血管の画像診断

画像診断は、目に見えない体の中の状態を体にやさしい方法で目に見えるようにして調べる検査の総称です。日本ではまだ”Cardiovascular Imaging”という言葉はあまりなじみがありませんが、世界ではとても有名です。Cardiovascular Imagingとは、進化する画像診断装置を使って、患者さんの診断・治療に役立てる分野です。
当院では、心臓超音波検査(心エコー)心臓CT検査心臓MRI検査の技術を用いて目に見えない心臓や血管を調べています。

心臓超音波検査(心エコー)

心エコーは心臓の動きを観ることができます。カラードプラ法を用いると血液の流れを測定できます。人体には無害な検査で、救急医療、外来や入院、どこでも行える検査で、心臓疾患の診断治療には欠かせない検査です。心筋梗塞の有無、弁膜症の診断ができます。また、心房中隔欠損症や心室中隔欠損症などのように、生まれつき心臓の壁に孔があいているような病気の場合も、そこを通る異常な血流を検出することによって診断できます。
当院ではToshiba社Artida装置を用いて診断を行っています。心エコー検査は完全予約制ですが緊急性の高い場合は、直ちに検査させていただきます。

特に心エコー検査を受けることができない患者様はおりませんが、とても痩せているかたや肺に病気があるかたは観察しずらいことがあります。
当院での予約待ち時間は約2週間前後です。

心エコーにかかる費用

約9,000円かかりますが保険が適応されます。1割から3割負担で約900円から2,700円前後の支払いで検査できます。

経食道心臓超音波検査(経食道心エコー)

通常の心臓超音波(心エコー)検査は胸壁から検査するため、心臓の背中側にある臓器(左心房など)の観察が十分出来ません。経食道心臓超音波(心エコー)検査では、先端にエコーの探触子がついた直径1cm弱の胃カメラ様のプローベを食道から挿入することによって、食道から内側の通常の心エコーでは見えにくい部分の詳細な観察が可能になっています。

前処置および検査の流れ

食道疾患のある方(食道静脈瘤や食道領域に対する放射線治療後など)、肝疾患(肝硬変など)、局所麻酔に対してアレルギーのある方は検査を受けることが困難です。主治医にご相談ください。 検査前6時間は飲食できません。常用薬については少量の水分で内服可能ですが、事前に医師、看護師にご相談ください。 検査前に義歯は、はずしておいてください。検査の前に局所麻酔のスプレーで咽頭の奥を麻酔します。前腕に点滴をし、必要に応じて緊張を和らげる鎮静剤を使用する場合があります。ベッドに左下横向きになり検査を行います。検査は医師によって行われ、検査時間は約20~30分くらいです。

合併症および偶発症

咽喉頭、食道(梨状窩)、胃損傷(出血を含む)、その他に反回神経麻痺(嗄声)、低血圧、心停止、誤嚥などが挙げられます。口唇損傷(13%)、嗄声(12%)、失声(1.8%)、気管内誤挿入(0.3%)、徐脈(0.2%)、歯の損傷(0.1%)などの頻度が報告されています。

検査後に注意していただく事

検査終了後は喉の感覚が麻酔にて麻痺していますから、飲食は検査後2時間以上たってからまずお水を飲んでいただき、むせこみがなければ飲食可能です。むせこむようでしたら30分後に同様のチェックをして下さい。検査後に喉の痛みやしみるような感じがでることがあります。検査後に何かご心配なことがあればいつでもご連絡ください。

当院での予約待ち時間は約2週間前後です。

心エコーにかかる費用

約15,000円かかりますが保険が適応されます。1割から3割負担で約1,500円から4,500円前後の支払いで検査できます。

心臓MRI検査

MRI(磁気共鳴画像診断法)は心臓の筋肉の診断の主力選手です。例えば、心臓MRIは、心電図、心エコーでも見つけられない心筋梗塞を見つけることが出来ます。また、MRI検査は被ばくの心配がありません。
心臓を動画(Cine画像)で見ることもできます。心駆出率、拍出率、拍出量、心容積などの評価が可能です。当院では、心臓検査で来院される患者様にこの心筋壁運動評価を行います。様々な疾患をまとめた動画をご覧ください(動画1心臓MRI-CINE)。
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ガドリニウムという造影剤を使用すると梗塞部位の評価(心筋繊維化)が白く見えます。

ガドリウム造影剤を注射したあと15分から20分待って撮像するので、ガドリウム遅延造影といいます。正常心筋は黒く見えます。心筋梗塞などの異常心筋の場所にガドリウムが沈着します。ガドリウム遅延造影で白く写る患者様の心臓は、心筋梗塞や炎症疾患の可能性がありますので、入院して心臓カテーテル検査などを行うことが望ましいです。

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血液が心臓にしっかり流れているか(心筋虚血)を調べる検査が「負荷Perfusion MRI」です。冠動脈が動脈硬化により狭窄していると、造影剤が狭窄部を通過するのが遅れる為、狭窄部より末梢の心筋において造影遅延が生じる現象を利用したものです。ATPという心臓の血流を増やす薬を点滴して検査します。
当院ではToshiba社1.5TMRI装置を用いて最先端のMRI診断を行っています。心臓MRIは完全予約制です。当院での予約待ち時間は約1ヶ月前後です。

心臓MRI検査を受けることが望ましい患者様

・健康診断で心電図異常を指摘された
・血液検査で心臓の数値(BNP値)が200以上
・心エコーで心臓肥大と言われた
・心エコーで心臓の収縮が悪いと言われた
・急性心筋梗塞で入院した
・うっ血性心不全で入院した
・冠動脈にステントの治療をした

以下の患者様は心臓MRI検査を受けることができません。
・閉所恐怖症、入れ墨、体に金属が入っている人はMRI検査ができません。
・腎臓の機能の悪い患者様はガドリウム造影ができません。
・気管支喘息の患者様はガドリウム造影ができません。
・ガドリウムにアレルギーのある人はガドリニウム造影ができません。
・担当医師が検査施行困難と判断した場合。

注)息が20秒止められない患者様、心房細動のような不整脈を持っている患者様は画像をうまくとることができないために、診断制度が低下します。

心臓MRI検査にかかる費用

3万円前後かかりますが、保険が適応されます。1割から3割負担で3,000円から9,000円前後の支払いで検査できます。保健が適応したからといっても大きな負担だと思います。しかし、心臓MRI検査を行うだけで、心疾患の中でも一般的な心筋梗塞や心不全のリスクを軽減できるのは大きな事といえます。
検査時間は月曜日から金曜日の午後4時前後です。検査時間は1時間を要します。息を吸ったり吐いたりを繰り返しますので大変かと思いますが、心臓の精密検査ですからご協力ください。

心臓CT検査

心臓CT検査は入院しないで行う心臓の冠動脈の狭窄の診断の主力選手です。今までは入院して行う心臓カテーテル検査でしか分からなかった冠動脈の狭窄を観ることができます。
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心臓カテーテル検査と比べより低侵襲で、体の負担が少ない検査です。
心臓CT検査でみつかった狭窄がある人は、後に心筋梗塞や突然死の危険が高いと言われています。異常が見つかった人は、心臓カテーテル検査、運動負荷試験、心臓MRI検査を受けて、最適な治療法を選択してください。

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また心臓CT検査は、心臓の弁、心筋、心膜のほか、必要に応じて大動脈、肺をみることもできるので、心筋疾患、心臓腫瘍、大動脈瘤、大動脈解離、肺血栓塞栓症などの胸痛の鑑別診断にも役立ちます(動画2心臓CT-CINE)。
しかしながら、被ばく量が心臓カテーテル検査より多く、動脈硬化が強過ぎると診断が難しいなどの欠点もあります。

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当院ではToshiba社64列同時撮影マルチスライスCT装置を用いて胸痛や動脈硬化の診断を行っています。

心臓CT撮像時の工夫

心臓の動きが激しい場合、せっかくの心臓の写真がぶれてしまいます。そこで、β遮断薬という薬を使って心臓の心拍数を低下させます。また、Toshiba社制の技術と当院の画像のスペシャリストが心臓の止まっている瞬間の画像を見つけ出し画像を作成します。冠動脈は動脈硬化でなくても血管攣縮(スパズム)で狭窄になってしまうことがあります。心臓CT検査中にスパズムが起きますと動脈硬化がないのに、動脈硬化があるように見えてしまいます。これを防ぐために硝酸剤(ニトロ)を投与して血管を最大限拡張して心臓CT検査を施行しています。

心臓CT検査を受けることが望ましい患者様

・健康診断で心電図異常を指摘された
・狭心症を疑われた
・心筋梗塞を疑われた
・心エコーで心臓の収縮が悪いと言われた
・心不全と診断された

以下の患者様は心臓CT検査を受けることができません。

・腎臓の機能の悪い患者様
・気管支喘息の患者様
・造影剤にアレルギーのある患者様
・妊娠の可能性がある患者様
・担当医師が検査施行困難と判断した場合

注)20秒息を止められない患者様、心房細動のような不整脈を持っている患者様は画像をうまくとることができないため、診断制度が低下します。

心臓CT検査にかかる費用

33,000円前後かかりますが、保険が適応されます。1割から3割負担で3,300円から1万前後です。保健が適応したからといっても大きな負担だと思います。しかし、心臓CT検査を行うだけで、心疾患の中でも一般的な心筋梗塞や心不全のリスクを軽減できるのは大きな事といえます。
心臓CT検査は完全予約制です。当院での予約待ち時間は約2から3週間です。検査は月曜日から金曜日の終日行われています。検査時間は10分程度ですが、CT検査室の前処置を入れる(心臓CT撮像時の工夫を行うため;上段落参照)と計60分から90分程度要します。

主な疾患と代表的な検査、治療について

心臓は、大きく分けて「冠動脈(血管)」「心筋(筋肉)」「刺激伝導系(脈)」「弁」「心膜」に分かれます。心臓のどの部分の調子が悪くなっても心不全になります。
例1)心筋梗塞を例に挙げてみます。心筋梗塞は冠動脈が閉塞し、心筋が壊死して動かなくなり、心室頻拍といった不整脈が起こり、僧帽弁の逆流が生じ、心不全になるといった具合です。
例2)拡張型心筋症は、冠動脈や心膜は正常ですが、心筋の収縮が低下し心室細動などの不整脈が生じ大きくなりすぎた心臓は弁逆流を悪化させ、心不全になります。
例3)完全房室ブロックを例に挙げてみます。冠動脈、心筋、弁や膜が正常であっても、ブロックにより極端に脈が遅くなると、心不全になります。
例4)僧帽弁逆流症は、冠動脈や心膜は正常ですが、徐々に心筋が疲れ心房細動を発症し心不全になります。
例5)収縮性心膜炎は、冠動脈、心筋、伝導系、弁が正常ですが、硬くなった膜が拡張できずに心臓の中に血液が入ってこず心不全になります。
このように心臓はどこが悪くても心不全になります。しがたって、心不全を診断するために、多くの検査が必要になります。下の図にまとめましたので参考にしてくだい。
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